個人的に英雄伝説2で一番すきなのは戦闘。
特にバランスがかなりよく練られている。
レベルアップのポイントを自由に割り振れるので、様々なパーティが考えられる。
アクセサリーの変更とかそういう次元ではなく、全く性質の違うキャラのパーティに出来る。
しかし、どんなパーティにしてもバランスが取れている。
このあたりがかなり絶妙だ。

呪文能力の導入もよかった。
1だと威力が呪文の種類に依存(運も高いほうがダメージを与えやすくなるが・・)していたのに対し、
呪文能力が出てきたおかげで、威力がキャラごとに大きく違い、かなり個性が出てきた。

カプセル型の魔法システムも良い。この辺は持ち物制限とともに良い。
どういう呪文が唱えられるかだけではなく、その構成も考える必要が出てきた。
MP型(特にMPが容易に回復できるタイプ)だと戦闘がどうしても単調になりがちになる。
またその手のMP型だとボス戦が強い呪文で攻撃する、また体力が減ったら回復する、といったパターンの繰り返しになりがちだ。
さらに英雄伝説1で問題だったのはボス戦がインパスの重ねがけを続けて叩けばよいといった感じで単調になったことだ。
英雄伝説2では回数制限があるので1よりそれがやりにくくなっている。
あとそれに付随してボスが通常攻撃をそれなりにやってくる。
1ではボスは強い呪文を唱え続けるばかりだったので、ボス戦では防御力の重要性が低かった。
しかし2では通常攻撃もしてくるため、テュートも意味を持ってきた。
さらにテュートで防御力を固めまくれば楽勝とはならないように
ほとんどのボスは特殊攻撃をもっていて、それでダメージを与えることができる。
(カザズーム、プルダーム以外。ただし、プルダームのときはテュートをまだ覚えられない)
またリパークやサイレスを唱えた場合の対策をボスが持っているのがよい。
特に1ではボス戦でリパークを唱えれば、ダメージをほとんど受けないという状態だったのがちゃんと改善されている。

英雄伝説1だと、つよさの値はHPの上昇と武器なしでの攻撃力の値となったけど
終盤、HPが多すぎても大してありがたみがなく、攻撃力もそんなに違いとなって現れなかった。(200以下の違い)
つまり、攻撃力は武器依存で、つよさかしこさはほとんど重要ではなかった。
ところが英雄伝説2ではHPの15%が武器無しでの攻撃力となり、武器の攻撃力を抑えたので、
以前ほど武器依存ではなくなった。 HPがものすごく高ければ、素手でもダメージを与えることができる。

つよさ、かしこさのシステムもよい。
それぞれつよさがHPや攻撃力の上昇率に関係し、かしこさが呪文能力の上昇率に関係している。
上昇率に対応させたのがよかった。
つまりあるレベルでつよさ、かしこさが同じでも途中の上げ方によって、HP、攻撃力、呪文能力が異なっている。
それから、上昇率なので最後のほうはつよさとかしこさを上げる必要性がなくなる。
さらに、あるつよさかしこさの値で最もHP、攻撃力、呪文能力が高くなるのは、
はじめの方でつよさとかしこさにレベルアップのポイントを全て割り振った場合である。
だから最初につよさやかしこさに全てのボーナスポイントを振り込めばいい
と思うかもしれなけど、実ははじめは素早さ重要度も高い。
実際のところ行動ターンは相手との素早さの比率で決まるため、
相手の素早さが小さいときは+1の上昇がかなり大きな意味を持つ。
実際、敵の素早さが9であるとき、素早さ4の場合、
敵は自分の2倍の動ける、つまりこちらが1回行動する間に2回動いてくる。
しかしここで+5だけ上昇させて素早さを9にすると、同じ行動頻度になる。この違いはかなり大きい。
しかし敵の素早さが30でこちらも30である時、はじめは行動ターンは同じ頻度で回ってくるが
ここでも+5だけ素早さを上昇させて素早さを35にしても、違いは小さめである。(注1)
つまり、はじめは素早さもおろそかには出来ないのだ。

レベルアップのパラメータをオートにしている場合で語るが、
かしこさはレベルに比例して上昇する。
かしこさは呪文能力の上昇率、つまり呪文能力の微分係数みたいなものなので呪文能力はレベルの2乗に比例する。(注2)
ヘベタルという呪文なんだが、この効果量は呪文能力に比例する。
つまりヘベタルの効果量はレベルの2乗に比例してしまう。
しかし、素早さの値はレベルに比例しているので、これでは終盤、ヘベタルが強大すぎるものになってしまう。
そこで、3章の終わりを境に、ボス戦ではヘベタルの効果量を半減している。
(ただしゴドウィン2世の第1形態には制限無し。第2形態では1/6の効果量。)
この辺りも色々配慮が見られる。

攻撃力や呪文能力はレベルの2乗のオーダーで上昇するが、
それに合わせる形で敵のHPなどもレベルの2乗のオーダーで上昇していく。
つまり敵と味方の力の攻撃のバランスが保持される。
全体としてはバランスが保持されているが、内部ではキャラ間のパラメータの違いがかなり大きなものとなっている。
素早さは敵も味方もレベルに比例するような形でバランスを取っているが、
素早さと呪文能力を結ぶヘベタルにおいては、ある4章はじめから効果を半減するという形でバランスを取ろうとしている。
セラに関しては無制限だけど、前述のようにすばやさがある程度あると上昇の影響度が小さくなる。
そのあたりでヘベタルより影響度が少なめなので制限を加えなくてもそれなりにバランスは保っている。
(ボスが1体だけで出てくることが多いというのも、ヘベタルのほうが影響度が大きい原因となっている。)


注1 : 味方と敵の素早さに1を加えたものをそれぞれS,S'とすると、定数hに対して、S'/S,S'/(S+h)を考える。
これらの比を考えると、(S'/S)/(S'/(S+h))=(S+h)/S=1+h/S
これはSに関して単調減少である。

注2 : 正確にはLをレベルの値、実数aをレベルアップごとのかしこさの上昇率とすると、
レベルLにおける呪文能力Sp(L)はSp(L)=Sp(0)+Σai (ただし、Σはi=1からn-1まで)すなわち Sp(L)=Sp(0)+aL(L-1)/2となる。
これもやや不正確で、ここではaの値を実数の範囲で定めているけど、実際はaは整数値をとるので誤差が出る。
さらに、ボーナスポイントの合計値はランダムで5〜7なのでここでも誤差が出る。
ただ、今回は具体的な数値を扱うわけではないので2乗のオーダーで増えていくと考えれば問題ない。


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